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販売価格の決め方|ネットショップの明暗を分ける価格設定の重要ポイント

  
ネットショップの明暗を分ける価格設定

『商品の販売価格が決められなくて悩んでいる』

商品やサービスの販売価格の決め方はビジネス成功の明暗を分ける重要な要素です。

特に、ネットショップにおける販売価格の決め方には様々な方法があり、いずれもハッキリとした「正解」というものがありません。

しかも価格設定の方法は「運営ノウハウ」にあたるため、誰かに気軽に『教えて~』などと相談しにくいものです。

そこで、今回のコラム記事では人に聞きにくい「販売価格の決め方」について、ネットショップの場合を中心に価格設定の重要なポイントを徹底解説致します。

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販売価格の主な決め方は5つ

ネットショップの販売価格の決め方には、主に以下5つの方法に分けることができます。

  • 仕入れ原価(コスト)から算出する
  • 市場価値・競合他社を参考にする
  • 市場浸透型で価格設定を行う
  • 他の自社商品との兼ね合いで決める
  • 視覚・心理効果を活用する

それぞれの方法をご紹介してきます。

【決め方1】原価(コスト)から算出する

仕入れ原価(コスト)に自社の利益額をプラスして、販売価格を決定するのは最もシンプルかつオーソドックスな方法です。

計算式としては以下のようになります。

販売価格=仕入れ原価÷原価率【1-利益率】

例えば、仕入れ原価1,000円の商品を30%の利益率でプラスした場合、販売価格は「1,429円」です。(1円以下切り上げ)

上記の例にあてはめると計算式は以下のようになります。

1,429円=1,000÷【1-0.3(=0.7)】

仕入れ原価では、商品自体の仕入れ価格に以下のような「仕入れにかかった諸費用」も全て含めて算出しておく必要があります。

  • 通信費
  • 輸送費
  • 輸送時の梱包費用
  • 検品費用
  • 広告費
  • 関税(海外仕入れの場合)

利益額とは自社の「儲け」です。

自社の「儲け」をいくらに設定するのが適正かという主観は事業者によって異なるため、必ずこうでなければならないという決まりはありません。

『ビジネスだから最低〇%は儲けたい』『仕入れに苦労しているからうちは〇%の儲けが欲しい』と考えて利益額を設定するのも全て自由です。

地域別の売上総利益率

出典:経済産業省

経済産業省が公表している資料によると、小売業の平均利益率は中小企業が29.1%、大企業が26.4%となっており、約30%(3割)が利益率の相場となっています。

仕入れ原価から販売価格を設定する方法のメリット・デメリットをご紹介していきます。

メリット
  • 計算が簡単・シンプル
  • 確実に一定の利益額が保てる

仕入れ原価から販売価格を設定する一番のメリットは、計算が簡単でシンプルであるという点です。

入荷した全商品に同じ利益率が確保できるため、一定の利益額を確実に保つことができます。

デメリット
  • 競合他社に対抗しづらい
  • 長期間在庫が残るリスクあり

仕入れ原価からの販売価格を設定で考えられるデメリットは、競合他社に対抗しづらい点です。

有在庫販売で同じような商品を他社が安売りし始めた場合、長期間にわたって売れ残るリスクも予想されます。

【決め方2】競合他社を参考にする

競合他社を参考に価格設定を行う方法は、特にネットショップにおいて最も有力な選択肢となります。

ネットショップは実店舗と違い、タップ(クリック)操作1つで競合店と簡単に比較できてしまえる特性をもつため、競合他社と比較した場合の「価格条件」がユーザーの購買を決定する上で大きな割合を占めているからです。

競合他社を参考に価格設定を行う方法としては、ネット上で自社と同じジャンルの商品を扱う競合他社の販売価格を1社ずつリサーチしていくことです。

楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど大手ショッピングモールに出店している同業他社の販売価格をくまなく調査した上、競合他社と同等の価格を設定します。

競合他社を参考に販売価格を設定する方法のメリット・デメリットをご紹介していきます。

メリット
  • 早期に売上を上げやすい
  • 在庫回転率を上げやすい

市場価値の相場や競合他社を参考に価格設定を行うメリットは、早期に売上を上げやすくて在庫の回転率を上げやすい点です。

ネットショップ運営初心者であっても、同様の商品を扱う老舗ライバル店より若干の値下げ、あるいは付加価値を付けることで自社の店舗へ顧客を誘導できるチャンスを獲得できます。

デメリット
  • 価格競争に巻き込まれる
  • 適正利益が確保しにくいことも

競合他社の価格を参考に価格設定する場合、競合他社に打ち勝とうと価格を下げてしまうと、たちまち価格競争に巻き込まれやすくなります。

一度、価格競争に巻き込まれてしまうと自社の適正利益が確保しにくく、最後には安くしなければ売上が上がりにくい店舗になってしまう恐れもあるため、くれぐれも価格設定は慎重に行うようにしましょう。

【決め方3】視覚・心理効果を活用する

視覚・心理効果を活用する価格設定とは、消費者の購買・行動心理を利用した価格設定方法です。

視覚・心理効果を活用する価格設定の主な方法は以下の通りです。

  • 端数切り(大台割れ)
  • 均一価格
  • 松・竹・梅方式

端数切り(大台割れ)とは、いわゆる「980円」「9,800円」といった端数を切って1,000円、10,000円の次の単位の大台にのらないよう視覚的に安さを強調する方法です。

海外では、US$19.99など「9」の数字が付くことが多いですが、日本では980円など「8」を数字の最後に持ってくる手法が定着しています。

均一価格とは、オール100円、10,000円など店内の価格が全て均一だと1つ1つの商品の価格にあまりシビアになりにくい心理を利用した手法です。

松・竹・梅方式とは、品質やオプションの中身を3段階レベルに分けて消費者に選ばせることで、価格帯の高い商品を売りやすくする方式です。

視覚・心理効果を活用する価格設定は商品ラインナップにも影響するため、店舗の全体設計を考慮して実施を検討しましょう。

視覚・心理効果を活用する価格設定のメリット・デメリットをご紹介していきます。

メリット
  • ユーザーに安心感を与えやすい
  • 購買率を上げやすい

視覚・心理効果を活用した価格設定のメリットは、購買条件が第三者の目から見てわかりやすいため、ユーザーに安心感を与えやすいことです。

「980円=1,000円以下の商品=安い」「1000円均一=どれを買っても1,000円で済む=安心」など、価格設定について損得を深く考えることもなく、購買率が上がりやすいのも特徴です。

デメリット
  • 消費税の総額表示が義務化されてから効果が薄い
  • 価格設定が難しい

2021年4月1日以降より、ネットショップでも消費税の総額表示が義務化(※)されるようになりました。

そのため、端数切りや均一価格の方法は2021年4月以前と比べて効果が薄くなっています。

近頃では「980円・税込1,078円」とECサイト上に消費税を必ず併記しなければならず、消費者へのお得感がかなり消えつつあります。

また、視覚や心理を利用した価格設定にこだわり過ぎると競合他社の価格に対抗できない、適切な利益率が確保できない恐れもあり、価格設定が難しい側面も否定できません。

※一般消費者間の取引のみ対象

【決め方4】市場浸透型で価格設定を行う

市場浸透型の価格設定とは、販売開始当初は低価格で市場シェアを広げ、あとから徐々に価格を上げていく方法です。

市場浸透型の価格設定方法は独自開発ルートがある事業者にとってブランド価値、企業価値を長期にわたり保ちやすい特性をもちます。

市場浸透型価格設定の典型的な代表例は「ユニクロ」や「マクドナルド」です。

ユニクロは、大手アパレル企業として初めて「卸業者」の中間マージンを完全に削減し、自社製造→消費者直販(DtoC)の流通方式に着手したことで、高品質でかつ低価格なカジュアルファッションのブランドイメージを確立させました。

しかし、現在のユニクロは高級ブランドとのコラボレーション商品を多数発表するなど、すっかり世界でも名の知れた有名ファッションブランドとしての地位を確立させたのです。

一方、マクドナルドも提供の早さと低価格をウリにファーストフード業界で独自の地位を確立させていましたが、近頃では700円以上の高価格帯メニューを展開するハンバーガーレストランとして新たなブランドイメージの構築を行うことにシフトしています。

市場浸透型で価格設定を行う方法のメリット・デメリットをご紹介していきます。

メリット
  • 市場を独占できるチャンスあり
  • ブランド・企業価値が早期に広がる

市場浸透型で価格設定を行う一番のメリットは、市場を独占できるチャンスがあることです。

販売当初は低価格で販売することにより躊躇せず購入してくれる顧客の絶対数が増え、商品を実際に使うことになるユーザーの数も多くなります。

多くのユーザーが自社の商品を使ってくれたことが口コミで広がり、ブランドや企業価値が急速に広まりやすくなるのです。

デメリット
  • 資本力・独自ルートが必要
  • 安売り屋で終わる可能性もあり

市場浸透型は低価格で大量の商品を販売するビジネスモデルのため、まとまった資本力や独自仕入れルート、生産ルートのある企業であることが前提になります。

ただし、一歩戦略を間違えると「ただの安売り屋」で終わってしまう可能性もゼロではないため、実施においては事業計画や市場リサーチを綿密に行うことが求められます。

【決め方5】他の自社商品との兼ね合いで販売価格を設定

他の自社商品との兼ね合いで販売価格を設定するとは、数ある自社商品の中で目玉商品を設定し、その他の商品で利益を取る方法です。

ネットショップでは、よく目にするセット販売でお得感を演出する「抱き合わせ価格」も同様の販売方法です。

目玉商品を設定し、他の商品で利益を取るビジネスモデルの最も代表的な例は「スシロー」です。

スシローの目玉商品であるマグロは、高級寿司店並みのクオリティという売り込みですが、1皿100円という赤字で提供されていることは周知の事実です。

しかし、目玉商品のマグロが赤字でもスシローはその他のメニューで十分利益確保ができているため、今もなお回転寿司業界トップの人気を誇っています。

他の自社商品との兼ね合いで決める価格設定の方法は、目玉となる主力商品の選定が鍵となるでしょう。

他の自社商品との兼ね合いで販売価格を設定する方法のメリット・デメリットをご紹介していきます。

メリット
  • 店舗の特徴を覚えてもらいやすい
  • 固定客がつきやすい

店舗の看板となる目玉商品を作り、他の自社商品との兼ね合いで価格を設定する方法は、ユーザーに店舗の特徴を覚えてもらいやすいのが一番のメリットです。

スシローのマグロのように『~を買うなら、~を食べるなら〇〇』とユーザーの脳裏にインプットされやすいため、安定した固定客がつきやすい方法といえるでしょう。

デメリット
  • 安定供給のできる目玉商品の選定が困難
  • 目玉商品だけを目当てにされやすい

他の自社商品との兼ね合いで価格設定を決めることで考えられるデメリットは、目玉商品の選定が困難である点です。

目玉商品に集客を依存してしまうことになるため、半永久的に安定供給のできるものでなければ目玉商品がなくなって売上が下がってしまうリスクがあります。

また、目玉商品だけを目当てにされては自社の利益を確保することも難しくなるため、必ず利益率が高い他の商品を一緒に販売するための仕組み作りが肝心となります。

販売価格を決める上で必ず抑えておくべきポイント

販売価格を決める上で必ず抑えておくべきポイントは次の3つです。

  • 決済手数料・システム手数料を含めて算出
  • コンセプトを考慮する
  • 自分ならいくらであれば買いたいかを振り返る

決済手数料・システム手数料を含めて算出

販売価格の設定は、決済手数料やシステム手数料などを必ず含めて算出する必要があります。

ネットショップの決済方法はクレジットカード、コンビニ決済などの方法が多くを占めますが、利用に際しては店舗側が約3~5%ほどの決済手数料を支払うことがほとんどです。

また、Yahoo!ショッピングや楽天市場などのショッピングモールやBASE(ベイス)などのASPカートシステムを利用してネットショップを運営する場合は、プラットフォームのシステム利用料が売買成約金額に応じて所定の手数料が課金されます。

システム手数料はプラットフォームごとに異なりますが、必ずどちらの手数料も含めた上での販売価格を設定しましょう。

コンセプトを考慮する

販売価格の設定は、店舗のショップコンセプトを考慮することも忘れてはなりません。

安さが自慢の低価格帯商品、10,000円前後の商品、富裕層を対象にした高価格帯の商品など、店舗がターゲットとする顧客層で販売価格の設定方法は全くことなります。

まずは店舗がユーザーに届けられる価値は何か、対象とする顧客層などを明確にし、コンセプトを主軸とした価格設定を行うようにしましょう。

関連記事

ネットショップにおけるコンセプト決めについては、以下のコラム記事で解説中です。

ネットショップはコンセプトで決まる!必要な理由・立て方を商品ジャンルごとに解説

自分ならいくらであれば買いたいかを振り返る

これまでお話したように、販売価格の決め方には欧米などを中心とする様々なビジネス上の理論が存在します。

しかし、最後には「論よりも実」です。

ビジネス上の理論に従って販売価格の設定を行ったあと、該当商品が自分ならいくらであれば買いたいかを見極めることが最終的に適切な価格設定となることが珍しくないからです。

反対にいえば、販売者自身が付けた価格設定で買いたいと思わないとすれば、シビアな目をもつユーザーが到底受け入れてくれるはずなどありません。

販売価格を設定する自分自身が消費者の目線に立ち、自分なら該当商品がいくらなら即決、いくらならちょっと悩んでしまうかなど、段階を付けて様々な視点で妥当な価格を検証してみましょう。

販売価格の決め方をシミュレーションで紹介

ここでは、冒頭に挙げた販売価格の決め方を踏まえ、実際に価格設定のシミュレーションを行ってみます。

今回はネットショップの価格設定でよく使われる「仕入れ原価」「競合他社」「視覚・心理」の3つの要素を含めて算出を行ってみます。

以下は、仕入れ価格500円のスマートフォンケースを販売する場合を想定しています。

▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください

価格設定の項目算出
①仕入れ価格500円
②1商品辺りの経費100円
③仕入れ原価600円
④想定する利益率30%(を設定)
+決済手数料4%(の場合)
909円
⑤競合他社価格相場850~1,100円
⑥視覚を含めた販売価格980円(税込)

項目ごとに詳しく解説していきます。

①仕入れ価格

仕入れ価格とは、仕入れ先から購入した時点での純粋な価格のことです。

今回であれば、スマートフォンケース1点の仕入れ価格が500円と想定しています。

②1商品辺りの経費

1商品辺りの経費とは、広告費や人件費、輸送費など1商品あたりにかかった費用のことです。

ここでは100円と想定しています。

③仕入れ原価

仕入れ原価とは「①仕入れ価格+②1商品辺りの経費」の合計です。

仕入れ価格500円+1商品辺りの経費100円=合計600円の仕入れ原価になります。

④想定する利益率+決済手数料

想定する利益率は、前述しました経済産業省が公表した平均利益率の30%とし、クレジットカード決済で支払った場合の決済手数料を4%と想定しています。

「③仕入れ原価+④想定する利益率+決済手数料」を全て含め、以下の計算式にあてはめると販売想定価格は909円となります。

販売想定価格909円=仕入れ原価÷原価率-決済手数料【1-0.3-0.04】

⑤他社価格相場

競合他社価格相場は、ネット上で該当のスマートフォンケースと同じような商品がいくらぐらいで売られているかを調査します。

調査の結果、同系統のスマートフォンケースがネット上で850~1,100円ほどで売られていたとします。

在庫をいち早くさばきたい場合は、最安値の850円より価格を下げるという選択肢もありますが、適正利益率が確保するため、ここでは1,000円前後とします。

⑥視覚を含めた価格設定

最後は視覚を含めた価格設定です。

販売想定価格は909円なので899円にする手もありますが、あえて最初から利益率を下げずに日本人に馴染みのある「980円」で設定しています。

まずは「980円」からスタートし、売れ行きがよくなければ徐々に価格を下げていく方が望ましいでしょう。

まとめ

今回は「販売価格の決め方」について、ネットショップの場合を中心に価格設定の重要なポイントについてお話させて頂きました。

まとめますと、ネットショップにおける販売価格の決め方は、主に以下5つに分けることができます。

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販売価格の5つの決め方メリットデメリット
仕入れ原価(コスト)から算出する・計算が簡単、シンプル
・確実に一定の利益額が保てる
・競合他社に対抗しづらい
・長期間在庫が残るリスクあり
市場価値・競合他社を参考にする ・早期に売上を上げやすい
・在庫回転率を上げやすい
・価格競争に巻き込まれる
・適正利益が確保しにくいことも
市場浸透型で価格設定を行う・ユーザーに安心感を与えやすい
・購買率を上げやすい
・消費税の総額表示が義務化されてから効果が薄い
・価格設定が難しい
他の自社商品との兼ね合いで販売価格を設定・市場を独占できるチャンスあり
・ブランド・企業価値が早期に広がる
・資本力・独自ルートが必要
・安売り屋で終わる可能性もあり
視覚・心理効果を活用する・店舗の特徴を覚えてもらいやすい
・固定客がつきやすい
・安定供給のできる目玉商品の選定が困難
・目玉商品だけを目当てにされやすい

販売価格を決める上で必ず抑えておくべきポイントは次の3つです。

  • 決済手数料・システム手数料を含めて算出
  • コンセプトを考慮する
  • 自分ならいくらであれば買いたいかを振り返る

ネットショップにおける販売価格の決め方は、店舗運営の根幹となる重要な要素です。

ただの作業で終わることなく調査には十分な時間をかけ、自信をもって競合他社に対抗できる価格設定を心がけましょう。

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