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越境ECを簡単に解説!始め方・事前準備~日本企業向けおすすめサイト5選も紹介

  

『越境ECって聞いたことあるけど、具体的にはどういう意味?』
『越境ECに興味はあるけど、何から始めていいのかわからない…』

近頃、ビジネス仲間から「越境EC」という用語を耳にする機会が増えていませんか?
『周りも始めたからうちも!』と、つい腰を上げたくなるはずです。

ただし、越境ECの本当の意味や仕組みがよくわからない方は少なくありません。

今回は、今さら人に聞けない越境ECについての基礎知識やメリット・デメリット、始め方、事前準備まで丸ごと、わかりやすく解説致します。

コラム記事の最後には、越境EC初心者でも安心の日本企業向けおすすめサイト5選、申し込み方法もご紹介致しますので、どうぞ最後までご覧ください。

越境ECとは?簡単にわかりやすく解説

越境ECとは、簡単にいえば国境を越えて行うEC販売のことです。

経済産業省が公表している資料によると、欧州委員会(European Commission)が実施した調査アンケートでは、越境ECのことを次のように定義付けています。

消費者が居住している国以外にある(位置している)販売者または提供者からの全ての購買

引用:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)

つまり、越境ECを具体的に説明すると、インターネットを介して以下のような商行為を行うことです。

  • 日本のEC事業者→海外の消費者に商品を販売(越境BtoC)
  • 日本の法人→海外の法人に商品を卸す(越境BtoB)
  • 日本の個人→海外の個人に不要品を譲り渡す(越境CtoC)

ただし、近頃では販売者やユーザーの居住国が、前述した欧州委員会の定義から外れている商取引も、広い意味での「越境EC」にカテゴライズされることがあります。

例えば、日本のEC事業者が、取引ターゲットとする相手国のECモールに出店し、現地の国内あるいは保税区域から商品を発送する取引形態のことです。

つまり、現代における越境ECとは、必ずしも販売者や消費者の居住国に縛られることなく「世界市場をターゲットに商品やサービスを販売する行為を指す」というのが正しい解釈であるといえるでしょう。

越境ECのビジネスモデル

越境ECの主なビジネスモデルは、主に以下6つの形式に分かれています。

  1. 国内自社サイト
  2. 国内ECモール
  3. 相手国のECモールに出店
  4. 保税区活用型出店(出品)
  5. 一般貿易型EC販売
  6. 相手国自社サイト

※上記リンクを選択すると移動(ジャンプ)できます

それぞれ詳しく解説していきます。

国内自社サイト

国内自社サイトを使った越境ECとは、日本のEC事業者が元々もっている日本語の自社サイトを多言語化し、海外ユーザーに商品やサービスを販売するビジネスモデルです。

配送方法はEMSやDHLなどの国際配送サービス、あるいは転送サービスなどを使い、日本から海外ユーザーへ直送を行います。

国内ECモール

国内ECモールの越境ECとは、楽天市場やAmazonなど越境ECに対応している国内ECモールを活用し、海外ユーザーに商品やサービスを販売するビジネスモデルです。

配送方法は国内自社サイトと同じく、国際配送サービスや転送サービスを使って日本から海外ユーザーへ直送を行います。

相手国のECモールに出店

相手国のECモールに出店する越境ECとは、販売をターゲットとする相手国のECモールに出店し、海外ユーザーに商品やサービスを販売するビジネスモデルです。

日本企業が相手国のECモールに出店するには、相手国ならでは法律に沿った規約を遵守する必要があるため、現地事情に精通した専門の代行業者を使うケースも少なくありません。

配送方法は日本から海外ユーザーへ直送する事業者もありますが、近頃では後述する現地に配送拠点を設け、ユーザーへ発送する方式を取る事業者も増えています。

保税区活用型出店(出品)

保税区活用型出店の越境ECとは、事前に相手国の保税区域(※)に商品を輸送しておき、受注後に保税内の倉庫から海外ユーザーに発送するビジネスモデルです。

保税区活用型出店型は、主に対中国ユーザー向けの越境ECに多く見受けられます。

保税区活用型出店型は現地発送のため、日本からの直送に比べて配送コストが安く、商品がユーザーの手元に届くスピードが早いのも特徴です。

※保税区域:一時的に関税の課税が留保される地域のこと

一般貿易型EC販売

一般貿易型EC販売の越境ECとは、日本の輸出者と販売ターゲットとする相手国の輸入者との間で通常の貿易手続きを経て、相手国のEC市場に参入するビジネスモデルです。

一般貿易型EC販売は、相手国の輸入者が現地のユーザーに商品やサービスを販売するため、越境ECに含めてよいものか、定義がやや曖昧である側面も否定できません。

しかし、一般貿易型EC販売は相手国の市場やユーザーの性質を知り尽くした現地の輸入者を介して自社製品の海外市場参入を狙う販売方法です。

ですので、一般貿易型EC販売は広い意味で越境ECといえるでしょう。

相手国自社サイト

相手国自社サイトの越境ECとは、相手国に自社サイトを開設し、相手国内でEC販売を行うビジネスモデルです。

相手国自社サイトの越境ECは、原則的に配送や顧客対応など、相手国におけるEC販売のオペレーションごと自社で行うことになります。

そのため、すでに相手国で自社の商品が認知されている前提で、参入を検討することが望ましいでしょう。

越境ECの市場規模

越境EC予測

出典:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)

経済産業省の資料によりますと、アメリカの会社であるZION Market Researchが発表した世界における越境EC市場規模(2019年)の推計は、約7,800億USドル(約86兆円)です。

2026年には、越境EC市場が約4兆8,200億USドル(約530兆円)まで市場が拡大すると予測されています。

越境ECの市場拡大が予測されるおおまかな理由は、次の4点です。

  • 越境ECの認知度上昇
  • 自国にない商品・品薄な商品が入手できる
  • 自国よりも安価に入手できる
  • 国際物流レベルの向上

越境ECの市場拡大が予想されるといわれる一番の背景は、越境ECの認知度上昇です。

自国にない商品、品薄の商品または自国よりも安価に入手できる商品が、越境ECという新たな手段により実現できるという認知度が上昇すれば、おのずと越境ECの市場も拡大していくことになります。

もちろん、国際物流レベルのスピードや品質の向上が越境ECの市場拡大を後押ししていることも間違いありません。

日本企業の販売先ターゲット

日本貿易振興機構(ジェトロ)が行ったアンケート調査によると、日本企業が海外の販売先ターゲットとして絞っている上位3か国について以下のような結果が出ています。

今後の販売先

出典:ジェトロ

  • 1位:中国
  • 2位:アメリカ
  • 3位:台湾

上記のアンケートは企業規模別に調査した結果ですが、現在と今後を含め、企業規模を問わず多くの日本企業が販売ターゲットを「中国」「アメリカ」に絞っていることがわかります。

3か国の規模

出典:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)

さらに、経済産業省が公表した資料「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、日本のユーザーが中国やアメリカから越境ECで購入している金額の割合に対し、日本企業が中国やアメリカのユーザーに販売している金額の割合はまだまだ追いついていないのが実状です。

対アメリカでは、日本のユーザーが越境ECでアメリカから購入している金額は9,727億円に対し、アメリカのユーザーが日本から購入している金額は約1/3に相当する3,076億円ほどです。

対中国では、日本のユーザーが中国から購入している金額が1兆9,499億円であるのに対し、中国のユーザーが日本から購買している金額は約1/30の340億円にすぎません。

中国やアメリカは、日本よりも国土や人口が圧倒的に上回る大国ですので、今から越境EC参入を目指す日本企業にとっては、いかに中国と米国の販売市場に切り込んでいくかが課題となるでしょう。

関連記事

中国における越境ECについては、以下のコラム記事で解説中です。

中国越境ECとは?市場状況等の基礎知識~始め方・成功する秘訣までプロが解説

越境ECのメリット

越境ECのメリットは次の5つです。

※上記リンクを選択すると移動(ジャンプ)できます

くわしく解説していきます。

販売市場が圧倒的に広い

越境ECの最大のメリットは、販売市場が圧倒的に広いことです。

2019年時点で日本のGDP(国内総生産)は世界3位の経済大国であるものの、販売キャパシティーはあくまで総人口の約1億2,500万人分で限界に達してしまうことも否定できません。

ジャンルによっては、すでに国内で飽和状態になっている商品も少なくなく、未来永劫の市場拡大を期待し続けることは困難です。

一方、世界市場には高品質な日本製品を欲しているユーザーの数はまだまだ存在します。

つまり、越境ECは努力次第でビジネスを拡大させていくチャンスが隠されているのです。

多子若齢・経済成長国市場に参入できる

ターゲットの国籍を問わない越境ECでは、多子若齢化(若い世代の人口が急激に増加)の国や、経済成長国市場に低コストで参入することも可能です。

少子高齢化がすすみ、すでに高度経済成長期がすぎた日本の物販業界は、今後ますます苦戦を強いられる状況は避けられません。

しかし、ひとたび海の外に販売チャンネルの矛先を変えれば、出産率の上昇が著しく経済成長期に突入しようとする国はいくらでもあります。

俗にビジネスの成功は「魚の多いところで釣りを行う」のが鉄則です。

少子高齢化の国内市場にいつまでも囚われることなく、多子若齢で経済成長期に突入する国に販売チャンネルを合せていくことも、企業の生き残りにとっては貴重な課題となるでしょう。

販売単価が高い

越境ECは、販売単価を高く設定しやすい点もメリットの1つです。

長引くデフレや類似商品の競合が多い国内のEC市場では「価格が安いから」という理由が購入のきっかけになっているケースが大半を占めます。

一方、海外ユーザーをターゲットにする越境ECは、日本製品を欲するユーザー層に富裕層が多いためか、価格の安さだけが購買のきっかけになる訳ではありません。

そのため、越境ECでは日本より価格設定を多少高くしても商品が売れやすい傾向にあり、結果として販売単価を高くとることができるのです。

オリジナル商品が売れやすい

越境ECでは国内ECよりも、オリジナル商品が売れやすい特性があるといわれています。

日本のユーザーはみたことがない、使ったことがないオリジナル商品をテキストと画像情報だけで購買してもらうことは、なかなか期待できないものです。

ところが、欧米などの海外ユーザーは、感性でネットショッピングを行う層が一定数存在するため、よいと思った商品を躊躇なく購入してくれる事例も少なくありません。

また、そもそも日本製品は品質に心配がないことが世界で認知されています。

みたことも触ったこともないオリジナル商品であっても、日本から購入することに不安を感じる海外ユーザーが少ないことも、日本企業ならではの優位性です。

為替益が得られる可能性もある

販売代金を現地通貨で回収する場合の越境ECでは、為替益が得られる可能性があります。

外国通貨の為替レートは日々変動しているため、同じ商品を同じ価格で販売していても、今月と来月で手取りの金額が全くことなることも珍しくありません。

例えば、Aという商品を為替レートが1ドル100円のときに1個US$20で販売すると、日本円の手取り額は2,000円ですが、翌月に為替レートが110円になれば2,200円になります。

つまり、同じ1個US$20で販売しても、自社のドル預金口座には200円の為替益が自動的に入る仕組みのため、国内ECでは得ることができない「別利益」が得られるのです。

越境ECのデメリット

越境ECはメリットがある一方、デメリットもあります。

越境ECで考えられるデメリットは次の5つです。

※上記リンクを選択すると移動(ジャンプ)できます

それぞれ解説していきます。

言語の壁にぶつかる

越境ECで懸念される一番のデメリットは言語の壁です。

EC販売では、商品・納期・決済についてユーザーからの様々な問合せに対応することが求められます。

当然ながら、越境ECでは顧客対応を全て外国語で行うことになりますが、翻訳機能を使った程度では、ユーザーに不安を与えてしまうことになりかねません。

たとえ担当者が初級程度の外国語が話せたとしても、細かいニュアンスまで伝わりにくいことも考えられます。

越境ECでは言語の壁をいかに取り払うかが、ビジネス成功における最大の課題となるでしょう。

顧客サポートが難しい

越境ECでは、顧客サポートの難しさも大きな課題の1つです。

前述のように、海外ユーザーを相手にする越境ECでは、言語の壁と同時に生活習慣の壁にぶつかることも否定できません。

例えば、ジャンルによっては同じ商品であっても、日本人と外国人では使い方がことなることも珍しくなく、思わぬところでユーザーに誤解を与えてしまう恐れもあります。

越境ECに取り組む場合は、販売ターゲットの国の人々がどのような場面で自社の商品を使うことになるのかを事前によく研究し、万全に対応できる準備も必要になるでしょう。

決済ツールの管理が複雑

越境ECでは、決済ツールの管理も複雑になります。

国内外問わず、EC販売は「決済ツールの多さ」が売上を左右するほど重要なウエイトを占めますが、越境ECではターゲット国に合わせた決済ツールを準備しなければなりません。

しかし、決済ツールの種類は増やせば増やすほど入金サイクルや管理も複雑になることが予想されます。

越境ECの代金回収を効率化するには、決済ツールを一括で管理できる業者をみつけることも課題となるでしょう。

社内スタッフの確保が困難

越境ECでは、社内スタッフの確保が困難になると予想されます。

海外ユーザーをターゲットとする越境ECでは、外国語に堪能なスタッフが必須であり、国内のEC販売スタッフを採用するより困難であることも事実です。

多言語や海外習慣に精通した人材を採用するには、おのずと給与コストの基準を上げることを視野に入れておく必要があります。

為替損・変動リスクあり

越境ECの代金を外貨建てで回収する場合は、為替損が起こることも考えられます。

前述のように、外国為替レートは毎日変動するため、対日本円に対し円安になれば為替益が生まれますが、円高になれば為替損が発生することは避けられません。

海外ユーザーの利便性を考えれば、現地通貨建てで販売価格を設定する方が親切です。
しかし、為替の変動リスクを加味すれば、日本円建てで販売価格を付ける方が安全という見方もできます。

越境EC出店を検討する際の注意点

越境EC出店を検討する際の注意点は以下の3つです。

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配送手段の確保・コストを確認

配送手段の確保とコストの確認は、越境ECを始める上で最も重要なウエイトを占めます。

まず、日本から海外のユーザーに商品を発送する方式を取る場合は、国際配送会社と契約しなければなりません。

日本から相手国の保税区域、あるいは相手国に商品をまとめて輸送し、現地からユーザーに販売する方式を取る場合は、全てのやり取りをシミュレーションした上でコストを算出する必要があります。

どちらの方式を取る場合もユーザーが購買したくなる価格設定ができるか、自社の適性利益が確保できるかを含め、綿密に算出を行いましょう。

各国の法律を確認・必要許可を取得

越境ECを始める上で忘れがちなのは、販売ターゲットとする相手国の法律、必要許可の確認です。

当然ですが、越境ECは海外のユーザーを販売対象とするため、販売ターゲットとする相手国の法律で禁止されている商品を販売することはできません。

ジャンルによっては政府に必要な許可、届け出をしなければ販売してはいけないケースもあります。

相手国の法律で禁止されている商品、あるいは必要な許可を取得せずに販売してしまった場合は運営が健全に回せなくなりますので、くれぐれも必要な許可申請を怠らないようにしましょう。

各国の関税・輸出入規制を確認

越境ECを始めるときには、販売ターゲットとする相手国の関税・輸出入規制の確認も外せません。

日本から世界中のユーザーに直送する方式をとる場合は、関税の計算をユーザー側にお願いする選択肢もありますが、ユーザーにとっては購入時に関税が自動で算出できると安心感が増します。

関税率が高い国では、海外から購入した方がかえって価格が高くなってしまうことも考えられるため、販売ターゲットとする相手国の関税に関する知識は抑えておきたいものです。

また、出品するジャンルによっては国ごとに輸出入規制の対象となることもありますので、自社の商品が規制に該当しているかどうかの確認は事前に済ませておきましょう。

関連記事

越境ECにおける関税については、以下のコラム記事でくわしく解説しています。

越境EC向け関税の基礎知識を総まとめ|中国・アメリカ・台湾など主要国別に紹介

越境ECの始め方・事前準備も解説

越境ECの始め方は次の8つのステップを踏まえることです。

  1. 取り扱い商品を選定
  2. 販売ターゲット国を絞る
  3. 各国の関税率・法規制を調査
  4. 出店・販売方法を決める
  5. サーバー・出店の申し込みを行う
  6. ECサイトの構築・決済システムの導入
  7. 国際配送会社と契約・物流拠点を開設
  8. 販売開始

※上記リンクを選択すると移動(ジャンプ)できます

【ステップ①】取り扱い商品を選定

まず、越境ECで取り扱う商品を選定することから始めましょう。

すでに自社ブランドをお持ちの企業様でも、国内市場で売れる商品と海外市場で売れる商品は性質が違うため、越境ECで受け入れられやすい商品を選定しなければなりません。

越境EC向けの商品とは「日本製品だと一目でわかりやすい商品」や「日本ならではの商品」「日本の伝統的な商品」などが受け入れられやすい傾向にあります。

上記3つの要素を基準に、日本の良さを世界にアピールできる商品を選定しましょう。

【ステップ②】販売ターゲット国を絞る

越境ECを成功させる秘訣は、販売ターゲット国をある程度絞ることです。

『商品を購入してくれれば、どんな国の人でも構わない』という考え方もありますが、人種やお国柄で嗜好が全く違う側面も否定できません。

社内の人材や配送方法のオペレーションにも影響しますので、一度に多数の国を対象にせず、1か国ずつターゲットを絞り着実にビジネスをステップアップさせていきましょう。

【ステップ③】各国の関税率・法規制を調査

販売ターゲットとする相手国が決まったら、対象国の関税率や法規制について調査しましょう。

関税率や法規制を確認せずに越境ECに取り組むと、知らなかったでは済まされないトラブルに発展するケースもありますので、現地事情を入念に調査することが求められます。

各国の事情はインターネットで調べることができますが、確実なのはジェトロ(日本貿易振興機構)や、現地に頻繁に往来、在住したことのある知人から入手することがおすすめです。

【ステップ④】出店・販売方法を決める

取り扱い商品や販売ターゲット国が決まったら、次に越境ECの出店や販売方法の選定に移ります。

日本から国際配送を使って遠隔で行うのか、現地の保税区域や倉庫を保有して運営を行うのかなど、最も効率的な方法を考案しなければなりません。

各国の商習慣や各モールの出店規定、人材に問題ないかなども含めて検討する必要があるでしょう。

【ステップ⑤】サーバー・出店の申し込みを行う

自社に適した出店方法が決まれば、サーバーや出店の申し込みを行います。

日本に拠点を持つプラットフォームに出店して越境ECを行う形式の場合は、日本のサーバーをそのまま使用できます。

海外で越境ECの運営を行う形式の場合は、新たに現地のサーバーを申し込む必要があります。

さらに、海外現地のオペレーションで出店する場合は、現地の法規制も絡みますので、各モールのサポート担当者や、現地事情を知る方に相談しながら取り組むことが望ましいです。

【ステップ⑥】ECサイトの構築・決済システムの導入

サーバーと出店手続きが完了すれば、ECサイトの構築と決済システムの準備です。

AmazonやeBayなど大手ショッピングモールに出店する場合は、国内ECサイトとほぼ同様の方法で画像と商品説明を入力するだけで、すぐに販売が開始できます。

自社サイトや、中国のように現地のショッピングモールに出店する場合は新たにECサイトを構築します。

また、日本のEC販売と違い、海外では決済ツールの充実が売上を左右するほど重要なウエイトを占めます。

中国向きにはWeChat(ウィーチャット)やAlipay(アリペイ)、アメリカ向きにはPayPal(ペイパル)など、現地の方に人気のある決済ツールを充実させ、集客に活用しましょう。

【ステップ⑦】国際配送会社と契約・物流拠点を開設

ECサイトの構築と同時に進めるべきは、物流手段を確立させていくことです。

日本から遠隔で運営する方式の場合は、EMSやDHLなどの国際配送会社と契約する必要があります。

現地を拠点にオペレーションを行う場合は、物流拠点となる地域に専用倉庫を構え、日本から事前に商品を発送させておかなければなりません。

いずれにせよ、どちらの方法もEC販売では物流方法の選定が最も重要となりますので、ECサイト構築と同時に早めに準備することが望ましいでしょう。

【ステップ⑧】販売開始

全ての準備が整ったら、いよいよ越境ECサイトで商品の販売開始です。

初めて行う海外ユーザーとのやり取りは、想定外のハプニングやトラブルが続出することが考えられます。

なるべく事前に海外ユーザーからのよくある質問内容などを検証し、スタッフ全員でロールプレイングなどを行っておきましょう。

越境ECの成功事例3選

ここでは越境ECに取り組み、成功を収めた日本の伝統企業3社の事例をご紹介しましょう。

佐治陶器

佐治陶器は、大正12年に創業した和陶器の老舗卸販売企業です。

佐治陶器

出典:海外におけるEC販売プロジェクト

世界的な和食ブームにのっとり、一目で「日本のもの」とわかる和陶器は、ジェトロ主催の越境ECプロジェクトで即座に海外バイヤーの目に止まりました。

佐治陶器の主力商品・土鍋は、北米地域のミニマリストをターゲットとするECサイトで、プロモーション重点商品に選ばれ、着実に売り上げを伸ばしているそうです。

ヨイキゲン株式会社

ヨイキゲン株式会社は、明治40年に創業した岡山県倉敷市にある酒蔵です。

ヨイキゲン株式会社

出典:海外におけるEC販売プロジェクト

海外では認知度の高い日本酒ですが、ヨイキゲンでは主力商品である日本酒だけにとどまらず、海外のノンアルコール市場に切り込むべく「甘酒」の越境ECに着手したそうです。

日本の甘酒がもつ米本来の甘みや滋養強壮、美容効果などを海外のバイヤーに懸命にアピールし、海外バイヤーの要望でボトルの大きさやデザインを全て改良したとのこと。

試行錯誤の結果、念願の中国EC市場、同時にマレーシアEC市場へも進出を果たすことができたようです。

あかしや株式会社

あかしや株式会社は、西暦1716年に創業した奈良市で筆作りを300年営む老舗企業です。

あかしや株式会社

出典:KonMari

あかしやの主力商品である「筆」は、すでに中国市場で成功を収めているものの、第二海外進出を狙った自社商品は水彩筆ペンです。

ジェトロで越境ECの出展を申し込んだところ、アーティストの多い米国のECサイトのバイヤーから引き合いがあり、見事、アメリカのEC市場に進出を果たすことができたそうです。

日本企業が出店しやすいオススメ越境ECサイト5選

ここからは、越境EC未経験の日本企業が出店しやすいオススメの越境ECサイト5選をご紹介します。 

Amazon

日本でもお馴染みのAmazon(アマゾン)は、アメリカ市場を目指す日本企業にとって最も利便性の高い出店方法です。

Amazon

出典:米国・Amazon越境EC『JAPAN STORE』出品支援

今、アメリカAmazonへの出店を検討している日本企業向けに、ジェトロとAmazonジャパンが合同で、日本を特集するストア「JAPAN STORE」への掲載を呼びかけています。

アメリカAmazonでの販売が初めての日本企業も、Amazonジャパンの選任担当者にサポートを受けられますので、越境ECに初めて取り組む日本企業にとっても安心です。

ポイント!

「JAPAN STORE」プロジェクトの詳細は、以下のURLをご一読ください。
https://www.jetro.go.jp/services/amazon_japan_store.html

eBay

eBay(イーベイ)は、世界最大級の越境ECサイトです。

eBay

出典:eBay販売サポート

eBayでは、日本のセラー獲得に力を注いでおり、以前は英語のみだった出店手続きや出品マニュアルなどが全て日本語で行えるようになりました。

eBayへの出店手続きは、eBay JAPANが日本語で全面サポートの上、出品操作も日本語ページからオンラインで可能です。

英語力に不安のある日本企業にとっては、最も理想的な形で越境ECに進出できます。

さらに、アメリカだけでなく世界190か国に同時出品されるため、世界中のユーザーに自社商品をアピールできるフィールドとなるでしょう。

T-Mall

T-Mall

出典:Tmall(天猫)

T-mall(天猫)は、中国でEC最大手のアリババグループが運営するオンラインショッピングモールです。

T-mallは、正規品で本物100%だけを販売する信頼あるECサイトとして、中国の中間層から富裕層に親しまれています。

これまで中国のEC市場に日本企業から直接参入することは難しいとされていましたが、近年では中国国内での日本製品の需要増加と共に、日本企業の招致が推進されるようになりました。

T-mallへの出店方法には2通りあります。

1つ目の方法は中国国内に物流拠点をもっておき、T-mall本体に出店するパターンです。

2つ目の方法はT-mall国際に出店し、日本あるいは保税区から中国のユーザーに発送するパターンです。

いずれもアリババジャパンが出店までのサポートを日本語で行ってくれます。

JD.com

JD.com

出典:JD.com

JD.com(京東商城)とは、中国最大級のIT企業であるテンセントグループが運営する中国のEC市場シェア第2位のECサイトです。

JD.comもT-mallと同様、日本からの出店者集めを強化中です。

日本企業がJDに出店する場合は、JD.com本体に出店するパターンとJD Worldwide(全球購)に出店するパターンに分かれており、いずれも出店には海外企業であることが証明できる書類が必要となります。

ただし、JD.comの場合は原則的に出店者自身がブランド元、あるいは正規ライセンシーであることが前提です。

そのため、日本の楽天市場の出店のように、いわゆるセレクトショップとしての出店は難しく、何らかのブランドを保有、あるいは生産者の企業様が中心となります。

JD.comへの出店は、日本の代理店を通じて申し込みを行う方がスムーズですので、インターネットなどで優良な代理店を探した上で出店を検討しましょう。

Shopee

Shopee

出典:Shopee

Shopee(ショッピー)とは、シンガポールを本拠地とし、東南アジアを中心に展開するECサイトです。

Shopeeはシンガポール、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの6か国のユーザーに販売が可能となっており、その中でも日本製品の人気はうなぎ登りです。

Shopeeの出店システムは、中国のように現地に拠点や物流倉庫を構える必要がなく、全て日本から発送する方式で運営が可能となっています。

しかも運営上の手数料や維持費はゼロのため、Shopeeの出店に際してリスクもかかりません。

日本語出店サポートも手厚く、国際配送サポートも行ってくれるため、越境EC初心者の日本企業にぴったりのプラットフォームです。

まとめ

今回は「越境EC」についての基礎知識やメリット・デメリット、始め方、事前準備までお話させて頂きました。

まとめますと、越境ECとは「国境を越えて行うEC販売」のことです。

具体的に越境ECはインターネットを介して、次のような商行為を行うことをいいます。

  • 日本のEC事業者→海外の消費者に商品を販売(越境BtoC)
  • 日本の法人→海外の法人に商品を卸す(越境BtoB)
  • 日本の個人→海外の個人に不要品を譲り渡す(越境CtoC)

越境ECの主なビジネスモデルは、次の6つの形式に分かれています。

  1. 国内自社サイト
  2. 国内ECモール
  3. 相手国のECモールに出店
  4. 保税区活用型出店(出品)
  5. 一般貿易型EC販売
  6. 相手国自社サイト

2019年時点で世界の越境EC市場は約86兆円で、今後ますますの急拡大が予測されています。

越境ECの市場拡大が予測されるおおまかな理由は、次の4点です。

  • 越境ECの認知度上昇
  • 国際物流レベルの向上
  • 自国よりも安価に入手できる
  • 自国にない商品・品薄な商品が入手できる

越境ECのメリットやデメリットは、それぞれ5つあります。

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メリットデメリット
・販売市場が圧倒的に広い
・多子若齢や経済成長国市場に参入できる
・販売単価が高い
・オリジナル商品が売れやすい
・為替益が得られる可能性もある
・言語の壁にぶつかる
・顧客サポートが難しい
・決済ツールの管理が複雑
・社内スタッフの確保が困難
・為替損や変動のリスクあり

越境EC出店を検討する際の注意点は以下の3つです。

  • 配送手段の確保・コストを確認
  • 各国の法律を確認・必要許可を取得
  • 各国の関税・輸出入規制を確認

越境ECの始め方は、次の8つのステップを踏まえることです。

  1. 取り扱い商品を選定
  2. 販売ターゲット国を絞る
  3. 各国の関税率・法規制を調査
  4. 出店・販売方法を決める
  5. サーバー・出店の申し込みを行う
  6. ECサイトの構築・決済システムの導入
  7. 国際配送会社と契約・物流拠点を開設
  8. 販売開始

上記を踏まえ、越境EC未経験の日本企業が出店しやすいオススメの越境ECサイトは、以下の5社です。

  • Amazon(アマゾン)
  • eBay(イーベイ)
  • T-Mall(天猫)
  • JD.com(京東商城)
  • Shopee(ショッピー)

越境ECは、メリット・デメリット、出店を検討する上での注意点を踏まえれば、語学が不得意であっても参入することは不可能ではありません。

今、各国の大手有名サイトの運営元が日本企業の招致を強化していますので、ぜひ各ECサイトのサポートを利用しながら越境ECへの参入を検討してみましょう。

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