ホームページで引用の正しい書き方とは【参照・転載・参考文献との違いも解説】

ホームページでは、著作権侵害の防止やコンテンツの根拠を提示といった目的のために「引用」を活用するケースがあります。
しかし、いざコンテンツを作成する上で、
『ホームページで引用が必要な理由が分からない』
『引用の正しい書き方が知りたい』
『引用ルールを破るとどうなるか知りたい』
上記のような課題が生じるかと思います。
本コラム記事では、企業のホームページ担当者様へ向けて「引用の定義とルール」「引用の正しい書き方」「参考・参照・参考文献との違い」について紹介しています。
【書き方を理解する前に確認!】ホームページで引用が必要な2つの理由
はじめに、ホームページで引用が必要な2つの理由について紹介します。
- 著作権侵害として訴えられないようにするため
- コンテンツの根拠を提示するため
著作権侵害として訴えられないようにするため
ホームページで引用が必要な理由1つ目は、著作権侵害として訴えられないようにするためです。
著作権侵害とは、私的使用の範囲を超えて他人の著作物を無許可で利用することです。
ホームページ上の「テキスト」や「画像」などは著作権によって守られています。
著作権は、苦労して作成したものを、他人に横取りさせないための法律です。
そのため、ホームページ上で他人のテキストや画像を利用するときには引用を使い、著作権侵害ではない意思を表示する必要があります。
コンテンツの根拠を提示するため
ホームページで引用が必要な理由2つ目は、コンテンツの根拠を提示するためです。
ホームページのコンテンツを作成するときに、自分の意見だけを記載した場合、コンテンツの根拠がないと判断されるケースがあるためです。
たとえば「2021年11月時点で日本の総人口は1億2,507万人です」とホームページ内に記載する場合は「引用:総務省統計局(サイト名)」など引用元を提示すると、根拠のあるデータであることが証明できます。
ホームページ上で引用が必要ない4つのケース
場合によっては、ホームページ上で引用が必要ないケースもあります。
下記内容を参考に、これから作成するコンテンツに引用が必要か判断しましょう。
- 著作物ではない場合
- 著作権者に掲載許可をもらっている
- 私的利用の場合
- 転載が許可されている
1.著作物ではない場合
著作物ではない場合は、引用は必要ありません。
著作物に該当しないものを挙げると、下記の通りです。
- 裁判所の判決書類
- 法律、通達類
- 箇条書きのテキスト
- アイデア・コンセプト
まず、自社で利用したいコンテンツが著作物に該当するか確認してみましょう。
著作物に該当するコンテンツに関しては、公益社団法人著作権情報センターの公式ホームページに記載されているので確認しましょう。
2.著作権者に掲載許可をもらっている
著作権者に掲載許可をもらっている場合は、引用の必要はありません。
ただし、掲載するコンテンツは元のままの状態で保持する必要があります。
たとえば、別のホームページに掲載されている画像の掲載許可をもらって、自分で画像を加工するという行為は「同一性保持権違反」となります。
3.私的利用の場合
私的利用は、自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することです。
この場合、引用は必要ありません。
ただし、すべての私的利用が認められているわけではないと理解しましょう。
たとえば、個人のブログに無断で画像を転載するのは、私的利用を超えていると判断されます。
4.転載が許可されている
転載が許可されている場合、引用は必要ありません。
国・行政機関が発行した資料などは、PR活動を目的と掲載されているので、著作権者の許可なく転載ができます。
ただし、転載するときには出典元の明示が必要です。
上記4ケースの場合は転載となるケースが多い
先ほどご紹介した4つのケースであれば、引用ではなく転載を活用するのが一般的です。
ここで「引用」「転載」の違いについても理解しておきましょう。
引用は、自分の主張を補うためのものです。
あくまで自分のコンテンツが主役で、コンテンツに根拠をもたせたい場合に引用を利用します。
引用の場合は、著作権者の許可は必要ありません。
転載は、他人の主張をそのまま紹介するためのものです。
転載は著作物をコピーして公開することになるので、著作権の保有者に許可が必要です。
自社コンテンツの目的を明確にした上で「引用」「転載」どちらを活用するか判断しましょう。
引用と参考・参照・出典・参考文献の違い
引用や転載の他にも「参考」「参照」「出典」「参考文献」といったルールもあります。
それぞれの特徴や使い分けについて解説します。
参考
参考は、著作物の内容を要約して使うことです。
著作物の内容をそのまま使う引用とは違い、参考では他人のコンテンツの内容から自分の意見を考えたときに利用します。
参照
参照は、図や表などの資料に対して使われることが多いです。
ホームページのコンテンツであれば『この資料を閲覧してもらえば内容が分かります』といったケースで利用されます。
出典
出典は、引用されたコンテンツの出所である書物や典拠のことです。
「引用」または「参考」にした著作物そのもののことを表しています。
参考文献
参考文献は、コンテンツを作成するときに参考にした図書や文献を記載することです。
用途としては「参考」とほとんど同じで、自分の意見となる決め手となった「他者の主張やデータ」という意味があります。
ホームページ上の引用ルール
引用には、細かいルールが定められています。
引用を活用する前に下記ルールを理解しておきましょう。
- 必要性があること
- 引用は自分のコンテンツより多くてはいけない
- 自分のコンテンツと引用先は区別する
- テキストや画像に加工や編集は加えない
- 引用元を記載する
必要性があること
ホームページ上の引用には、必要性がなくてはいけません。
ただし、引用したいという理由ではなく「引用がないと自分のコンテンツの説明ができない」「根拠が提示できない」という必要性がないと利用できないと覚えておきましょう。
引用は自分のコンテンツより多くてはいけない
引用は自分のコンテンツより多くてはいけない、というルールもあります。
たとえば、自分のコンテンツよりも引用したコンテンツの方が多くなった場合は「無断転載」や「コピペ」と認識されてしまう可能性があります。
あくまで、自分のコンテンツがメインであり、それを補助するのが引用であると理解しましょう。
自分のコンテンツと引用先は区別する
ホームページ上の引用では、自分のコンテンツと引用先を区別しなくてはいけません。
たとえば、引用部分をカッコや枠で囲み、誰がみても引用したことが分かるような区別が必要です。
テキストや画像に加工や編集は加えない
引用するテキストや画像に関しては、加工や編集を加えてはいけないというルールもあります。
コラム記事の冒頭でも触れましたが、他人が作成した著作物を無断で加工や編集する行為は「同一性保持権違反」になります。
テキストや画像を引用するときには、なにも手を加えず、そのまま掲載するようにしましょう。
引用元を記載する
引用する場合は、引用元を記載する必要があります。
ホームページからの引用であれば「ホームページ名」や「URL」を明記しましょう。
書籍からの引用であれば「著者名」や「書籍の名称」の明記が必要です。
書き方については、コラム記事後半でくわしく解説しているので参考になさってください。
ホームページ上で引用の正しい書き方
引用の正しい書き方をケース別に紹介します。
「画像」「テキスト」「SNS投稿」「動画」「参考文献」別の書き方について解説しています。
画像を引用するときの書き方
画像を引用するときの書き方をみてみましょう。
画像を引用するときは「出典:出典元のホームページ名とリンク」を記載します。
上記画像の場合「出典元」が記載されているため、問題がないように見えますが、こちらはNGとなります。
上記の画像だと「自分のコンテンツと引用先は分かりやすく区別する」という引用ルールが守られていないためです。
正しい画像引用の書き方は上記のとおりです。
上記のように引用タグを使って、画像と自分のコンテンツを分かりやすく区別させましょう。
他ホームページのテキストを引用するときの書き方
他ホームページのテキストを引用するときも画像と同様で、上記画像のように自分のコンテンツと区切りをつけて「引用元」を提示します。
引用したホームページのリンク(URL)をつけることも忘れないようにしましょう。
引用タグの書き方
他ホームページのテキストや画像を自分のホームページ内に引用するときには、引用タグを使いましょう。
引用タグを使用することで、Googleなどの検索エンジンに引用したコンテンツだと伝えることができます。
引用タグは「blockquote」または「q」を使用します。
qタグは、引用するテキストが1行など短文の場合に使用します。
引用するテキストが2行以上の場合は、blockquoteタグを使用するといいでしょう。
引用タグ(blockquote)をHTMLで例にあげると、以下になります。
■引用タグのHTML(テキストの場合)
<blockquote>
<p><cite>引用:<a href="引用元のURL">引用元の情報</a></cite></p>
</blockquote>
■引用タグのHTML(画像の場合)
<blockquote>
<p><img src="画像のURL" alt="代替テキスト"></p>
<p>出典:<cite><a href="引用元のURL"></a></cite></p>
</blockquote>
「cite」タグは、引用元の著作物のタイトルを表す際に使用します。
SNS投稿を引用するときの書き方
続いて、SNS投稿を引用するときの書き方をみていきましょう。
SNS投稿の引用は、プラットフォームによって書き方がことなるので「Twitter」「Facebook」それぞれの引用方法を紹介します。
Twitterの投稿を引用する手順は下記のとおりです。
出典:Twitter
引用したいツイートをみつけたら「…」→「ツイートを埋め込む」を選択します。
出典:Twitter
コードが発行されるので、コピーします。
コピーしたコードを自分のホームページに貼り付ければ完了です。
画像やテキストの引用とは違い「カッコで区別する」「リンクを明記する」といった工程は必要ありません。
Facebookの投稿を引用する手順は下記のとおりです。
出典:Facebook
引用したい投稿をみつけて「…」→「埋め込み」を選択します。
出典:Facebook
コードが発行されるのでコピーします。
コピーしたコードを自分のホームページに貼り付ければ完了です。
YouTube動画を引用するときの書き方
YouTube動画を引用するときの書き方は下記のとおりです。
出典:YouTube
引用したい動画ページをみつけたら「共有」を選択します。
出典:YouTube
「埋め込む」を選択すると、コードが発行されるのでコピーします。
自分のホームページにコピーしたコードを貼りつければ完了です。
参考文献の書き方
参考文献の書き方を紹介します。
たとえば、自社ホームページで、近年の気温状況をまとめた記事を作成したとしましょう。
このとき、気象庁のホームページにあるデータを活用したのであれば、下記のように記載します。
参照となるWebページに掲載されているタイトルは、ダブルクォーテーション(“ ”)で囲み、下記内容を記載するのが基本的なルールです。
- 著者名
- Webページのタイトル
- Webサイトの名称
- 更新日付
- URL
- アクセスした日付
著作が不明の場合は「著作不明」で記載します。
ホームページの引用ルールを破ると損害賠償請求や罰則が科される
最後に、ホームページにおける引用ルールを破ったときの「民事上のペナルティ」「刑事上の罰則」について紹介します。
著作権が侵害された場合、下記のような罰則に科せられる可能性もあると覚えておきましょう。
民事上のペナルティ
民事上のペナルティを紹介します。
無断転載などで著作権が侵害された場合、著作権者は下記4つの請求が可能です。
- 差止請求
- 損害賠償の請求
- 不当利得返還請求
- 名誉回復などの措置の請求
著作権侵害の場合は「差止請求」と「損害賠償請求」が一般的となります。
差止請求は、著作権侵害行為をやめるように請求する権利です。
損害賠償の請求は、侵害者に対して、損害賠償を請求する権利です。
認められる損害賠償額は100万円程度といわれています。
刑事上の罰則
著作権者が告訴すると、侵害者を処罰することができます。
著作権侵害のおける刑事上の罰則の下記のとおりです。
- 最大10年の懲役
- 最大1,000万円の罰金
上記いずれか、または、両方で処罰される可能性があると覚えておきましょう。
まとめ
ホームページで、コンテンツ作成するときの引用の正しい書き方を紹介しました。
ホームページで引用が必要な理由は下記2つです。
- 著作権侵害として訴えられないようにするため
- コンテンツの根拠を提示するため
ホームページ上の引用ルールは下記のとおりです。
- 引用する必要性があること
- 引用は自分のコンテンツより多くてはいけない
- 自分のコンテンツと引用先は分かりやすく区別する
- テキストや画像に加工や編集は加えない
- 必ず出典元を明記する
引用のルールを破ってしまうと「民事上のペナルティ」や「刑事上の罰則」が課せられる可能性もあるので、ルールを守ったコンテンツ作成を心がけましょう。
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