会社沿革の書き方とは?中小企業向けに作り方・例文・サンプルを解説

  
会社沿革の書き方とは?中小企業向けに作り方・例文・サンプルを解説

会社沿革の作成やリニューアルを任されたものの、具体的な書き方や構成がわからず悩むのはよくある話です。

『会社沿革の定義や意味を知りたい』
『会社沿革の書き方や例文を学びたい』
『会社沿革のサンプルやテンプレートを教えて』

上記の疑問に答えるため、今回の記事では、会社沿革の意味・効果的な書き方・例文やサンプル・参考になる事例を網羅的にまとめました。

本記事を読めば、自社の魅力を最大限に伝える会社沿革ページの作成ノウハウが身につき、ホームページの成果を高められます。

まずは会社沿革の役割を正しく理解し、自社の歴史をブランディングにつなげる第一歩を踏み出しましょう。

会社沿革の意味とは

会社沿革

会社沿革(かいしゃえんかく)とは、企業の創業から現在までの歴史的な変遷や重要な出来事を時系列順に整理した記録です。

ホームページの企業情報ページや案内パンフレットには欠かせないコンテンツで、会社の履歴書のような役割を果たします。

また、理念をもって社会課題に取り組み、困難を乗り越えて成長してきたかという物語を伝えるブランディングツールでもあります。

会社沿革は創業年を起点として記述を開始し、以下のような節目となるトピックを年表形式で積み上げていくのが基本スタイルです。

  • 資本金の増資
  • 本社の移転
  • 新工場の設立
  • 新商品の発売

読み手である顧客や求職者は、沿革を見るだけでその企業の存続期間や事業の安定性を直感的に理解できます。

そのため、BtoB企業においては、取引開始前の与信調査の一環として会社沿革がチェックされるケースも少なくありません。

会社概要や社史との違い

会社概要・会社沿革・社史の違いについて、わかりやすく以下の表にまとめました。

項目 掲載内容・役割
会社概要 所在地・資本金など基本情報の提示
会社沿革 年表・マイルストーンなど実績で成長性や歴史を証明
社史 創業者の思い・苦労話など企業文化の伝承

会社概要は現在の企業の基本情報を伝えるための資料で、以下のような情報が含まれます。

  • 所在地
  • 代表者名
  • 資本金
  • 従業員数

一方、会社概要では見えてこない培ってきた経験やノウハウの蓄積、変化への対応力を示せる点が会社沿革の特徴です。

社史は企業の歴史を詳細に記述した書籍や記念誌を指す場合が多く、以下のポイントなどを掘り下げて編集されます。

  • 創業者の個人的な思い
  • 当時の苦労話
  • 社員のエピソード

会社沿革では見やすさと信頼性を最優先に考え、ユーザーが必要とする情報を過不足なく提供する構成を意識しましょう。

会社概要の書き方は、以下の記事で解説中です。

企業がホームページに会社沿革を掲載する目的

企業がホームページに会社沿革を掲載する主な目的は、以下のとおりです。

  • 顧客や取引先からの信頼獲得
  • 企業の成長性や将来性の提示
  • 求職者への採用ブランディング

会社沿革を掲載するそれぞれの目的を深く理解し、誰に向けてどのような情報を発信すべきかを明確にしましょう。

顧客や取引先からの信頼獲得

新規の顧客や取引先が企業を調査するとき、基本的な信用調査資料として会社沿革ページは非常に重視されます。

たとえば、長い歴史があるという事実そのものが、経営の安定性と社会的な信用を証明する強力な武器になります。

なぜなら、さまざまな不況や市場の変化を乗り越えてきた実績は、一朝一夕には作れない価値があるからです。

一方、比較的新しい企業であっても急成長や事業拡大のプロセスを示すと、勢いがありポジティブだと印象づけられます。

企業の成長性や将来性の提示

会社沿革を通じて右肩上がりの成長カーブを可視化するのは、自社のポテンシャルをアピールするうえで効果的です。

投資家・金融機関・将来のパートナー企業に対して、今後の事業展開への期待感を形成するプレゼンテーション資料となります。

「いつ工場を増設」「何年に海外拠点を設立」といったマイルストーンを示せば、説得力は格段に増すでしょう。

また、時代に合わせて事業内容を柔軟に転換してきた歴史は、変化への適応能力が高い企業である証明になります。

したがって、会社沿革は過去を記載するだけでなく、企業の成長ストーリーが伝わる項目の選び方を意識してください。

求職者への採用ブランディング

会社沿革は、求職者に向けた自社のブランディングに役立つ、コーポレートサイトの重要なコンテンツです。

求職者は応募先企業を検討するとき、自分が働く可能性がある会社の将来性や安定性を非常に気にしています。

そのため、採用ページだけでなく会社沿革ページも熟読し、企業の変遷や成長の軌跡を入念にチェックしているのです。

創業時や数々の苦難を乗り越えた歴史を知るのは、企業の理念や社風に対する理解と共感を生み出すきっかけになります。

なぜこの会社が今の事業をしているのかについての背景を知れば、モチベーションや志望動機が形成されるでしょう。

「この会社の一員として新しい歴史を作っていきたい」という意欲を喚起できれば、採用活動における強力な動機づけとなります。

自社の価値観や文化に共鳴してくれる人材を集めるためのフィルターとして、会社沿革コンテンツを有効活用しましょう。

基本的な会社沿革の書き方・作り方

基本的な会社沿革の書き方・作り方は、以下のとおりです。

  • 時系列の年表形式を基本とする
  • 創業・設立の記載を最初におく
  • 主要なマイルストーンを強調する
  • 簡潔な文章で事実を記述する
  • 現在の状況で締めくくる
  • 負の出来事も適切に含める

わかりやすさと読みやすさを追求し、自社の魅力を正しく伝えるための作成ルールを押さえましょう。

時系列の年表形式を基本とする

ホームページでの会社沿革の構成は、西暦・和暦を用いた時系列の年表形式が一般的であり、基本の型です。

ユーザーにとってなじみがあり、いつ何があったかを時系列順に追えるため、負荷が少なく読みやすい形式です。

デザインとしては「年」「月」を左側に配置し、右側に出来事を箇条書きで記述していくスタイルがよく使われます。

上記の形式なら視線の移動が左から右、上から下へとスムーズに進み、スマホのような縦長の画面でもストレスなく閲覧できます。

まずは手元にある会社案内や登記簿謄本を基に、年表形式で事実を洗い出していく作業から始めましょう。

創業・設立の記載を最初におく

沿革の冒頭には自社の始まりである創業・設立の年月日と、当時の商号・所在地・創業者の名前などを記載してください。

創業・設立の年月日などは自社のルーツを提示し、歴史の長さを証明する沿革ページのいわば顔となる部分だからです。

なお、創業・設立それぞれを正しく使い分けるため、以下の表に違いをまとめました。

項目 創業 設立
意味 個人やグループが新たに事業を始める 法人を法的に登記・登録する
主な主体 個人事業主・起業家 株式会社・合同会社・NPO法人など
法的手続き 開業届は任意で特に必要なし 定款作成・法務局への提出など登記申請が必須
タイミング 事業活動を始めた時点 登記を申請し、法人格を得た時点

創業は事業の開始日、設立は法人登記した日を指すため、個人事業主からスタートした場合は両方記載するのがおすすめです。

分けて記載しておけば、法人化する前にも事業実績があった事実が伝わり、歴史の深さをよりアピールできます。

特に老舗企業の場合、創業の古さはそれだけで信頼の証となりますので、強調して記載すべきポイントです。

また、創業時のエピソードや当時の思いを、短いコラムとして添えるなどの工夫を凝らすのも効果的です。

主要なマイルストーンを強調する

会社沿革ではすべての出来事を同じ粒度、同じ文字の大きさで羅列せず、主要なマイルストーンを強調しましょう。

本社移転・工場の新設・社名変更・主要事業の開始・株式上場といった大きな出来事は、目を引くようにデザインすべきです。

太字にする・写真を添える・行間を空ける・背景色を変えるなどの視覚的な工夫を施し、一目でわかるようにしましょう。

スクロールしながら流し読みしても、「この会社はここで大きく飛躍したのだな」と直感的に理解できるデザインが理想です。

また、重要な出来事の背景や当時の状況を補足する短い文章を加え、何が起きたのかを伝えるのも効果的な方法です。

簡潔な文章で事実を記述する

ユーザーは流し読みが多く、長い文章をじっくり読む時間や忍耐力をもっていない傾向が強いのが現実です。

そのため、会社沿革の各項目は「いつ何をした」という事実を中心に、体言止めなどを活用して極力簡潔にまとめましょう。

「行いました」「となりました」といった冗長な語尾は情報のノイズになりやすいため、基本的には削除します。

「〇〇支店を開設」「資本金を〇〇万円に増資」のように名詞や動詞の終止形で終わらせると、リズムよく読み進めてもらえます。

専門用語や社内独自の略語は一般的な表現に書き換え、業界知識のない人が読んでも理解できる平易な言葉を選んでください。

目安としては一つの項目につき1行、長くても2行以内に収めるように意識すると、全体のスッキリとした印象を維持できます。

また、事実だけでなく、その結果どうなったかという成果を含めるとより具体的なイメージが伝わります。

たとえば、「展示会に出展」ではなく「展示会に出展し〇〇件の商談を獲得」と書き、活動の成果をアピールしましょう。

現在の状況で締めくくる

沿革の最後は過去の出来事で終わるのではなく、現在の自社の状況・到達点・直近の取り組みを記載して締めくくりましょう。

一例を挙げると、「現在に至る」という定型句だけで終わらせるのは思考停止した印象を与えかねず、もったいない書き方です。

「〇〇事業の拡大に向けて新拠点を準備中」といった進行形の情報を加えると、企業の停滞感を払拭できます。

最新の情報を常に反映させ、企業が現在進行形で動いているというライブ感を演出すれば、ポジティブな印象を与えられます。

一方、最終行の日付が数年前だと、もう活動していないのではないかといった不要な疑念を抱かれかねませんので注意しましょう。

負の出来事も適切に含める

ポジティブな出来事だけでなく、ネガティブな歴史も適切に含め、どう乗り越えたのかを記載すれば信頼感の向上が可能です。

企業の歴史は順風満帆な時期ばかりではなく、事業の撤退や拠点の統廃合といった苦渋の決断を迫られます。

また、過去の不祥事や事故などのネガティブな出来事を、会社沿革に記載するべきかどうか悩む担当者も多いでしょう。

しかし、ネガティブな過去を隠して良い出来事ばかりを並べると、かえって情報の透明性が疑われる可能性があり注意が必要です。

特に公知の事実や業界内では知られている失敗であれば正直に記載し、どう乗り越えたかを示すほうが信頼を得られます。

具体的には、「バブル崩壊による経営危機を乗り越え」「品質問題を受け管理体制を刷新」などは、逆に企業の強さを証明します。

失敗から学んで改善し、危機を乗り越えてきた事実は、自浄作用や危機管理能力の高さをアピールする材料に転換できるのです。

光だけでなく自社の影の部分も適切に開示すれば、会社沿革にリアリティと深みをもたせられるでしょう。

会社沿革に記載すべき項目と内容

会社沿革には法的に定められた記載義務や厳密なフォーマットはありませんが、一般的に網羅しておくべき項目が存在します。

以下の項目から自社の歴史にとって重要度が高いものをピックアップし、時系列に並べていくのが基本の編集作業です。

項目 内容
創業・設立 事業開始年月・法人化の年月・創業の地
組織変更 株式会社化・社名変更(商号変更)・合併・分社化・上場
拠点展開 本社移転・支店・営業所・工場の新設および移転
人事 社長交代・主要な役員改選
資本政策 資本金の増資
事業・商品 新規事業の立ち上げ・主力商品の発売・サービスの開始
許認可・認証 建設業許可・ISO取得・プライバシーマーク取得
受賞・実績 業界団体からの表彰・地域貢献活動での受賞

中小企業も使える会社沿革の例文・サンプル

中小企業も使える会社沿革の例文・サンプルを、3つ紹介します。

  • 事実列挙型の例文
  • 物語型の例文
  • 個人事業主から法人成りした場合の例文

「事実列挙型・物語型」の特徴とそれぞれに適した企業を、以下の表にまとめました。

スタイル 特徴 おすすめの企業
事実列挙型
  • 客観的で読みやすい
  • 作成・翻訳が容易
  • BtoB企業
  • 製造業
  • 士業
物語型
  • 感情に訴えかける
  • ファンを作りやすい
  • BtoCサービス
  • 飲食業
  • 採用強化中の企業

事実列挙型の例文

事実列挙型は、オーソドックスで汎用性が高いスタイルであり、多くのコーポレートサイトで採用されています。

「自社の歴史を客観的に伝えたい」「情報を見やすく提示したい」といった場合に、事実列挙型が適しているからです。

余計な修飾語を省いているため、信頼感や堅実な印象を与えやすく、BtoB企業・士業・製造業などで好まれます。

例文

2010年4月 東京都渋谷区にて株式会社〇〇を設立(資本金500万円)

2012年6月 事業拡大に伴い、本社を東京都港区へ移転

2015年9月 Web制作事業を開始、Webマーケティング支援サービスをリリース

2018年3月 資本金を1,000万円に増資

2020年11月 大阪支店を開設し、西日本エリアへ進出

2023年4月 プライバシーマーク(Pマーク)を取得

スマホユーザーにとっても、画面をスクロールしながら要点だけを拾い読みできるため、親切な構成です。

また、事実のみを記載するため文章力に自信がない担当者でも作成しやすく、更新の手間も少ないのも大きな利点です。

物語型の例文

物語型は事実の羅列だけでなく、当時の背景・感情・エピソードを文章で補足するスタイルです。

創業者の熱い思いや、社員たちが共有してきた苦労や喜びといった企業の温かみを伝えたい場合に効果的です。

採用サイトやブランディングを重視するサービス業、飲食業などでは物語型を取り入れてファンを増やす手法がよく用いられます。

例文

2010年4月 創業の決意:
「中小企業のIT化を支援したい」という創業者の思いから、渋谷区の小さなマンションの一室で株式会社〇〇を設立。当初はパソコン1台からのスタートでした。

2015年9月 新たな挑戦:
顧客からの要望に応える形でWeb制作事業を開始。多くの失敗を経験しながらも、社員一丸となって技術力を磨き、現在の主力サービスへと成長させました。

上記のように見出しをつけてストーリー性をもたせると、情報の羅列ではなく、読み物としての面白さが生まれます。

読者は物語として企業の歴史に触れるため、無意識のうちに感情移入して親近感を抱くようになります。

事実の裏側にある「なぜ」「どのように」を伝えられるため、企業の価値観や文化を深く理解してもらうのに最適です。

個人事業主から法人成りした場合の例文

個人事業主としての活動期間が長い場合は、法人化する前の歴史もしっかりと記載するのがおすすめです。

法人設立日からだと、実際には長い経験があるにもかかわらず、できたばかりの若い会社と思われてしまうからです。

個人事業時代からの記述を加えれば、実質的なキャリアの長さを証明し、顧客に安心感を与えられます。

例文

2005年1月 〇〇代表が個人事業主として「〇〇デザイン事務所」を開業

2008年5月 地元の飲食店を中心に販促物の制作を請け負い、年間100件の案件を受注

2010年4月 事業拡大に伴い法人化し、「株式会社〇〇」を設立(東京都渋谷区)

「創業」と「設立」を使い分け、個人時代の屋号なども記載しておくと、古くからの顧客に対しても親切です。

法人成りは事業が順調に拡大した証拠ですので、成長のステップを伝えればポジティブな印象を演出できます。

また、個人事業時代の苦労や法人化を決意したきっかけなどを少し書き添えると、経営者の人柄が伝わるコンテンツにできます。

参考になる会社沿革の成功事例5選

会社沿革の作成で参考になる成功事例として、以下の5社を紹介します。

  • 本田技研工業
  • 任天堂
  • サントリー
  • 花王
  • パナソニック

大手企業の事例から学べるエッセンスを取り入れ、自社の会社沿革ページをより魅力的なものに仕上げましょう。

本田技研工業

Honda 企業情報サイト「ヒストリー チャレンジの軌跡」
出典:Honda 企業情報サイト「ヒストリー チャレンジの軌跡

本田技研工業は「チャレンジの軌跡」というテーマを掲げ、年代ごとにエピソードを物語形式で紹介しているのが特徴です。

事実の羅列ではなく、スーパーカブやCVCCエンジンの開発などの製品誕生の裏側にある夢や情熱に焦点があてられています。

「良品に国境なし」という創業当時の精神や、創業者・本田宗一郎の言葉を織り交ぜているため、熱量や思想を深く理解できます。

当時の社会背景や製品写真を豊富に使い、視覚的にも歴史の流れを楽しみながら追体験できる構成が魅力的です。

技術的な挑戦だけでなく、マン島TTレースへの出場など、世界へ打って出た歴史がドラマチックに描かれています。

任天堂

任天堂ホームページ「会社情報:会社の沿革」
出典:任天堂ホームページ「会社情報:会社の沿革

任天堂の会社沿革を見れば、創業時の花札の製造からトランプ・玩具・電子ゲームへと事業を変化させてきた歴史が一望できます。

装飾を極力排したシンプルな年表形式を採用し、事実がもつ重みと、変化を恐れない企業の姿勢を際立たせているのが特徴です。

「ゲーム&ウオッチ」「ファミリーコンピュータ」などの時代を画した製品名が並び、娯楽の進化が手に取るようにわかります。

過去の商品ラインナップそのものが、任天堂という企業の独創性とブランド力を雄弁に物語る資料となっています。

長い歴史の中で、「どのように娯楽の定義を変えてきたのか」という変遷のダイナミズムを直感的に感じ取れるコンテンツです。

サントリー

サントリーホールディングス「サントリーの歴史|企業情報」
出典:サントリーホールディングス「サントリーの歴史|企業情報

サントリーは創業からの歩みの物語を重視したダイジェスト版と、事実を網羅したタイムラインの2種類の構成です。

創業者・鳥井信治郎が赤玉ポートワインや国産ウイスキー作りに挑んだ苦難と成功の道のりが、熱量をもってつづられています。

「日本人の味覚にあった洋酒を作りたい」という創業時の志が、現在の商品開発にも脈々と受け継がれているのがよくわかります。

また、サントリーホールなどの文化活動や、愛鳥活動といった環境保全への取り組みを取り上げているのもポイントです。

「水と生きる」というコーポレートメッセージが、過去から未来へとつながる一貫したテーマとして描かれている点が秀逸です。

花王

花王株式会社「会社の歴史」
出典:花王株式会社「会社の歴史

花王は1887年の創業から現在までの長い歴史を、年代ごとのタブで切り替えて閲覧できる構成です。

初代・長瀬富郎による長瀬商店の創業・石けんの製造・近年のグローバル展開・M&Aまで、多様な出来事が整理されています。

特に注目すべきは、昭和初期に家事科学研究所を設立するなど、創業期から科学的なアプローチを重視していた事実です。

歴史的な背景を知れば、現在の花王が持つ高い技術力や研究開発へのこだわりが、一朝一夕のものではないと納得できます。

また、グループ会社を含めた組織の広がりも網羅されており、全体像を深く知るためのデータベースとして機能しています。

パナソニック

パナソニック ホールディングス株式会社「沿革」
出典:パナソニック ホールディングス株式会社「沿革

パナソニックは1918年の松下電気器具製作所の創業以来、日本を代表する電機メーカーとして歩んできた道筋を記録しています。

松下幸之助による創業や、ナショナルという商標の制定・綱領・信条の明文化など、企業の出来事が時系列で並びます。

事業部制の導入・ブランドの統一・近年の持ち株会社体制への移行など、経営体制の大きな変革も正確に記されているのが特徴です。

経営判断の歴史や組織の変遷が詳細に記録されており、投資家やビジネス研究者にとっても、資料価値の高い内容となっています。

1世紀を超える歴史の中で、「どのように社会の公器としての役割を果たしてきたか」といった誠実な歩みが伝わる構成です。

信頼感を高めるかっこいい会社沿革のデザインのポイント

信頼感を高めるかっこいい会社沿革のデザインのポイントは、以下のとおりです。

  • レスポンシブ対応
  • イメージを伝える画像・図表
  • マイクロコピーとCTA

会社沿革のページでは見た目の美しさだけでなく、機能性と導線を兼ね備えたデザインを目指しましょう。

レスポンシブ対応

現代のホームページ閲覧環境はスマホが主流であるため、小さな画面でも見やすいレスポンシブデザインへの対応は必須です。

パソコン画面では横並びの年表デザインがおしゃれに見えても、スマホでそのまま縮小表示されると文字が小さすぎて読めません。

スマホ表示では縦並びに自動変換され、指でのスクロールに合わせて情報が入ってくるように調整する必要があります。

会社沿革はテキスト量が多くなりがちなため、スマホで見たときに文字がぎっしりと詰まって見えるのは致命的です。

ユーザーが離脱しないよう適度な余白を設け、フォントサイズや行間を調整して可読性を確保しましょう。

レスポンシブデザインの仕組みや作り方などは、以下の記事で解説中です。

イメージを伝える画像・図表

文字だけの年表は、どれほど良い内容が書いてあっても、視覚的に単調で退屈な印象を与えてしまいます。

そのため、当時の社屋・創業メンバーの集合写真・ヒット商品などの画像を適所に配置し、視覚的なアクセントを加えましょう。

画像が1枚あるだけで当時の雰囲気がユーザーへ直感的に伝わり、文章を読む負担を軽減させる効果があります。

ただし、掲載には「自社で保存している」「権利関係がクリア」といった写真を使用し、人物写真への配慮も必要です。

また、売上げの推移や拠点数の増加などをグラフ化して掲載すると、企業の成長が一目でわかるインフォグラフィックになります。

画像や図表で印象や説得力を高め、言葉で説明するよりもはるかに強く、自社のイメージをユーザーに伝えましょう。

マイクロコピーとCTA

沿革を最後まで読み終えたユーザーは、自社に対して少なからず興味や関心をもった温度感の高い状態にあります。

そのため、タイミングを逃さず次のアクションへ誘導するためにCTA(Call To Action)を設置するのが重要です。

CTAには「創業の思いに共感してくれた方はこちら」「歴史を一緒に作りませんか」といったマイクロコピーを添えましょう。

沿革の内容を受けたメッセージを添えると、ユーザーの気持ちに寄り添った自然な誘導が可能になります。

CTAボタンの作成方法は、以下の記事で解説しています。

会社沿革の作成に関するよくある質問

会社沿革の作成に関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 書くことがない場合のネタ探しのコツを教えてほしいです
  • 社長交代や本社移転の記載方法は?
  • 資本金増資や組織変更の扱いについて知りたいです

会社沿革を作成する前に疑問や不安を解消し、効率的かつスムーズに作業を進められるようにしましょう。

書くことがない場合のネタ探しのコツを教えてほしいです

設立から日が浅い場合や、過去の記録が散逸している場合でも、会社沿革の作成を諦める必要はありません。

ネタが見つからないときは、以下の資料を確認してみてください。

資料・ソース わかること・活用方法
履歴事項全部証明書(登記簿謄本) 正確な設立日・移転日・役員就任日などがわかる公式記録
過去の社内報・広報誌 当時の社員の熱量・社内イベント・小さな成功体験がわかる
社長やベテラン社員へのインタビュー 創業時の裏話・苦労話・会社のターニングポイントが聞ける
古いアルバム・写真データ オフィスの変遷、当時の服装や雰囲気が視覚的にわかる

どうしても書く内容が少ない場合は、一つひとつの出来事に丁寧な解説や写真を添え、情報の密度と満足度を高めましょう。

社長交代や本社移転の記載方法は?

社長交代は企業の経営体制が変わる重要な節目ですので、会社沿革ページに記載すべき事項です。

「代表取締役に〇〇が就任」と新社長の名前を記載し、必要であれば前社長の「取締役会長に就任」といった異動情報も併記します。

会社沿革への記載は、事業承継がスムーズに行われた事実や、新体制への移行を対外的に公表する意味合いもあります。

本社移転についても「移転しました」と事実だけを書くのではなく、理由や背景を添えるのがポイントです。

「業務拡大のため、本社を〇〇に移転」と書けば、企業の成長に伴うポジティブな変化だと印象づけられます。

なお、郵便番号やビル名まで含めた正確な住所を記載するか、新旧の住所の対比がわかるように記述すると親切です。

資本金増資や組織変更の扱いについて知りたいです

「資本金を〇〇万円に増資」と具体的な金額とともに記載すれば、会社沿革で財務基盤の強化をアピールできます。

取引開始基準として資本金の額を重視する大手企業相手のビジネスでは、重要なアピールポイントです。

組織変更についても「開発部を新設」「〇〇事業部を分社化」といった情報は、自社がどの分野に注力しているかを示します。

ただし、頻繁すぎる組織変更やすぐに廃止された部署まで細かく書きすぎると、逆効果になるケースもあります。

経営方針が定まっていないのではないかと不安視される恐れがあるため、あくまで主要な変更に絞って掲載するのがポイントです。

まとめ

会社沿革は、企業の歴史を時系列で伝えるだけでなく、顧客からの信頼獲得や採用活動に直結する重要なコンテンツです。

事実の羅列で終わらせず、企業の成長ストーリーや大切にしている価値観を伝えるブランディングツールとして活用しましょう。

時系列の年表形式を基本とし、創業の思いやマイルストーンを強調しながら、スマホでも読みやすい簡潔な文章で構成してください。

古い情報のまま放置せず、常に最新の状況にアップデートし続ければ、自社の信頼性を高める道につながります。

今回の記事を参考に、自社の魅力を最大限に伝える会社沿革ページを作成し、ホームページの成果をさらに高めましょう。

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コーポレートサイトの実績も多数ですので、現行のホームページで課題があればビズサイにお気軽にご相談ください(制作サービスの詳細はこちら)。

ホームページに関する記事

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